月岡芳年「月百姿」展の後期を見てきました。
いやー、凄かった!
美術館の会員になると拡大鏡とライトが借りれて、ライトで絵を観察することができるそうなので、早速会員になり、堪能してきました!(通常は絵の保護のため照明が暗め)
版画は印刷の原点であるわけですが、現代の印刷よりも遙かに技巧がこらしてあり、むしろ江戸時代や明治のほうが優れていたのではないかとさえ思いました。
それらの細かい技巧は明るくして近くに寄らないと見えないし、印刷にも出ません。
月百姿シリーズ、画面の白い部分にはまず殆どエンボス加工がしてあります。(刀の柄などの細かい部分でさえも)場合によっては色を乗せてさらにエンボス加工の場合もあります。
一見黒に見えるところに光を当てると柄が浮き出てきたりします。
光を当てると銀やメタル系インクっぽい色の柄が浮き出てきたりします。
以前「SINNER'S HIGH」という本の表紙を4色+銀インクで刷った時は銀インクに感動したものですが、浮世絵の銀の使い方に比べたらなんともお粗末で恥ずかしい。
20世紀から21世紀にかけて印刷技術は向上したけど技法は19世紀より後退したということでしょうか。
浮世絵のほうが、よっぽど現代の印刷物よりもエンボス加工と銀の使い方がとてもキメ細かくて美しいです。
なんと現代の印刷物の殺風景なことよ。
それから・・・
芳年の弟子の年章という人の牛若丸の絵には驚いた。初めて聞いた絵師の名前だったんだけど、牛若丸がめっちゃ美少年で、なんでこの絵師の名前が今まであまり世に出なかったのか不思議。いや、マジ牛若丸には萌えました(笑)
牛若丸はよく浮世絵に描かれる題材で、いずれも美形に描かれてはいるんですが、今回見た牛若丸が私が見た中では最も美形でした。
技巧もすげえ。
照らすと浮き上がる青系メタルインク(インクじゃないんだけども)で描かれた着物の柄。
袴にはエンボス加工の柄+グラデーション
刀の柄にもエンボス加工。
めっちゃ細かいし美しかったです。
んで、遠くに見える弁慶の影。
あ、舞台は五条大橋。
きっと江戸や明治にも腐女子はいたに違いない。確信した。
そして腐女子たちは「牛若萌え〜」「弁×牛萌え〜」とかみたいなことを言ってたに違いない。
「○○さん(絵師の名前)の新刊牛若絵が出たから買わなきゃ」とか言ってたに違いない。
そうそう、浮世絵には「見立て絵」という楽しみ方があって、それは「このアイテムが描いてある場合は、あのお話のこの人物」っていうルールで絵を楽しむもの。
まあ、要は誰が描いた絵でも「触覚があってロン毛で黒いコート着た人と金髪クセ毛の少年がいたらFF7セフィクラ」とか「角が生えてて虎縞ビキニ着てる女の子がいたらラムちゃん」みたいな。
現代の同人文化の潮流はすでに江戸時代からあったというわけですな。
やっぱ日本文化はオタク文化だ〜
私は常々FF7以外については、さしてオタク的なものに興味ないので、自分はオタクではないんじゃないかと思ってました。
だけど、浮世絵の時代の作品に萌えてる私は、その古さから、もしかしたら誰よりもヲタなのかもしれませんね・・・・
今日の日記はつらつら長々と浮世絵について語ってしまいました。
ああ、誰でも萌えの前にはついつい饒舌になってしまうものですね・・・・
ここまで私の萌え話にお付き合いくださった方、本当にありがとうございます!
あとは
コレと
コレも見に行きたいですねえ。
最後になりましたが業務連絡。
今日から双葉さんの新刊の通販を開始しました。是非ご利用ください。